定期総会特集
2023年3月
令和 5 年 3 月
  277号

発行人 土井章弘
編集人 松井三平

 2023年度
 定期総会
 祝今年は日中平和友好条約締結45周年
歴史を鑑として未来に平和友好を

  認定NPO法人岡山市日中友好協会(土井章弘会長)は、2月18日、岡山市北区駅元町のANAクラウンプラザホテル岡山で、2023年度(令和5年度)定期総会と記念講演会、新春互礼会を開いた。総会では〝ポストコロナ〟時代に向けての活動方針を決定。重点目標としては、日中平和友好条約締結45周年記念事業の実施、教育・青少年交流や医療福祉交流の促進、財政の健全化と会員拡大など。決意を胸に新環境下での新たなスタートを切った。

定期総会(土井章弘会長挨拶)

                   国際情勢/日中米関係激動の中
               今年こそ真価が問われる年


 教育、青少年、福祉交流促進、財政健全化

  開会に先立ち、物故者に対して黙祷。総会では、土井章弘会長が「最近、人の交流も盛んになりつつある。このあたりで(コロナ禍も)終息するのではないか」と期待を込めて挨拶。

  議事に入り前年度(2022年度)の事業報告書、活動計算書を承認、役員改選の後、新年度の事業計画書案、活動予算書案を審議、原案通り決定した。

佐藤弘一氏
 
  役員改選では、理事に備前法律事務所長の佐藤弘一氏が新たに選任された。他は再任。
  参与には、松田正巳氏(山陽新聞社代表取締役社長)中島基善氏(岡山県経済団体連絡協議会座長)里見俊樹氏(RSK山陽放送代表取締役社長)が新たに会長より委嘱された。(名簿は2面)

  記念講演では、矢掛町教育長の山部英之氏が約200人の聴衆を前に約1時間にわたって「論語再発見!」について熱弁をふるった。

  新春互礼会は、会員を中心に来賓や中国人留学生学友会も迎えてにぎやかに開かれた。中国駐大阪総領事館総領事代行の方煒氏、衆議院議員の逢沢一郎氏、岡山市長の大森雅夫氏が挨拶した。
  また、伝統衣装で舞いながら瞬時に〝面〟を付け替えて変身していく中国の伝統芸能・四川劇〝変面〟ショーが披露され、会場を大いに盛り上げた。


  講演会(山部英之講師)「論語再発見!」「仁義礼智信」
   
            日中友好新春互礼会

  今年は協会発足42年目。コロナ感染拡大から3年が過ぎ、ようやくリアル交流の兆しが見えてきた。
  この3年間、協会はオンライン交流という手法により、洛陽、上海、天津との間で青少年、医療分野の交流を継続し、新たな活動スタイルを築いてきた。

新活動スタイルを構築
むしろ強固に親密に

  この間、パートナーである各都市の人民対外友好協会との関係は、むしろ強固に親密になってきた。それだけに今後の活動はオンラインとリアル交流を折り混ぜながらのハイブリッド方式で推進していきたい。
 そして活動を支えていく組織を活性化するために、交流行事や事務局の実務に主体的に関わってもらい、その中で、組織の若返りと代替わりを推進していきたい。

組織の若返りを推進
友好活動の連携支援

  連携支援活動では、県内各地域で取り組まれている友好活動の支援を、積極的に行い、すそ野を広げていきたい。
  また、専門家の皆さんの支援を得て、中国留学生をはじめ県内の中国の方々への法律相談という新たな試みにも挑戦したい。
  日中両国間には懸案事項も多々あるだけに、日中平和友好条約締結45周年の本年は、日中友好の真価が問われる年でもある。

いかなる風雨の中でも
市民みんなで日中友好

  いかなる風雨の中でも動じない『市民みんなで日中友好!』の大きな流れを創って参りましよう!

       
   大森雅夫氏 (岡山市長)      逢沢一郎氏 (衆議院議員)   方煒氏 (駐大阪総領事館総領事代行)

    四川劇「変面」ショー

      中国人留学生学友会

      講演する山部英之氏
 白玉蘭賞、職業奉仕賞
 松井専務理事受賞
 
  松井三平専務理事は、このほど、上海市から「白玉蘭記念賞」を、岡山南ロータリークラブから「職業奉仕賞」をそれぞれ受賞した。
  白玉蘭記念賞は、上海市が友好交流に尽力したとして外国人に贈られている。県内からの受賞者は、故・江草安彦旭川荘名誉理事長をはじめ4人目。
  職業奉仕賞は、ロータリアンの職業奉仕理念に基づき、地域で地道に奉仕活動と取り組んでいる職業人に贈られている。
 《岡山・洛陽の交流報告》
 交流実績を高く評価  今年の相互訪問を約束
 

  岡山市日中友好協会と洛陽市人民対外友好協会のオンライン交流会が昨年10月21日、岡山市の岡山旭東病院「あさがおルーム」で開かれた。
  岡山側は土井章弘会長、黒住昭子副会長、松井三平専務理事、洛陽側は洛陽市外事弁公室の葉恵玲主任(対外友好協会会長)、白志斌副主任、蔡志副主任、洛陽市人民対外友好協会の張璞副会長、于愛紅前事務局長等が参加した。
  お互いに双方の交流の様子や経過を紹介し、将来に向けての決意を確認。相互訪問を約束し、記念撮影をして交流の幕を閉じた。(小菅恵美・記)


洛陽・岡山交流のうた
       (作詞・宮本光研)


  ① 


 
洛陽-岡山 都市交流
1981年   春のこと
日中不穏を のり越えて
世々代々に 縁結び
 
  ② 


 
周恩来総理 肝胆相い
照らす岡崎 嘉平太翁
心のおもい 深ければ
両市の友好 幕開けり
 
  ③ 


 
黄河の流れ 瀬戸の海
牡丹と桃の 花の香よ
王城公園  後楽園
そぞろに愛す 常永遠に
 


 
2023年度(令和5年度)   
 
岡山市日中友好協会 役員一覧表
                                      (順不同、敬称略)
  役 職      氏   名         所     属 
  顧 問    伊原木 隆 太      岡山県知事 
   〃    大 森 雅 夫   岡山市長
   〃     槇 野 博 史   岡山大学長
  相談役   片 山 浩 子   前会長、岡山外語学院理事長、
  会 長    土 井 章 弘   岡山旭東病院総院長
  副会長   宮 本 光 研   長泉寺名誉住職
   〃    永 山 久 人   下津井電鉄代表取締役
   〃    黒 住 昭 子   黒住教婦人会長
   〃    森 田   潔   岡山大学名誉教授、上海交通大学客員教授
 専務理事    松 井 三 平   アジア・コミュニケーションズ代表取締役
  理  事   牛 田 和 子   広報委員会
   〃    山 本 直 樹   広報委員会
   〃    荒 木 敏 雄   事業担当
   〃    猪 木 正 実   広報委員会
   〃    岡 﨑   登   ANAクラウンプラザホテル岡山取締役
   〃    塚 村 淑 子   塚村造園土木取締役
   〃    岡 﨑 郁 子   吉備国際大学特任教授
   〃    星 野 耕 平   青年部代表
   〃   横 溝 政 資    イタヤコーポレーション取締役
   〃   佐 藤 弘 一   備前法律事務所所長
  監 事   高 渕 宣 雄   ビジョン経営研究所所長
   〃    室 賀 康 史   室賀ネジ機工代表取締役
  参 与   逢 沢 一 郎   衆議院議員
   〃    山 下 貴 司   衆議院議員
   〃    加 藤 浩 久   岡山県議会議長
   〃    和 氣   健   岡山市議会議長
   〃    楠 木 忠 司   岡山市洛陽市友好都市議員連盟顧問
   〃    田 尻 裕 二   岡山市洛陽市友好都市議員連盟会長
   〃    磯 野 昌 郎   元岡山市洛陽市友好都市議員連盟会長
   〃    松 田   久   岡山市国際交流協議会会長
   〃    竹 井 千 庫   岡山県日中懇話会会長
   〃    岡 本   啓   岡山県日中教育交流協議会会長
   〃    漆 間 宣 隆   岡山県宗教者の会会長
   〃    加 計 孝太郎   加計学園理事長・岡山理科大学総長
   〃   井 尻 昭 夫   岡山商科大学学長
   〃    貝 畑 雅 二   貝畑学園理事長
   〃    松 田 正 巳   山陽新聞社代表取締役
   〃    末 光   茂   旭川荘理事長
   〃    中 島 基 善    岡山県経済団体連絡協議会 座長
   〃    髙 木 晶 悟   トマト銀行取締役社長
   〃    里 見 俊 樹   RSK山陽放送代表取締役社長
   〃    土 井 雅 人   テレビせとうち代表取締役社長
     (顧問、相談役及び参与は会長の委嘱による)
    
 
令和5年度(2023年度)事業計画
  事業計画については  令和5年度 事業計画書および令和5年度 活動予算書を参照 
令和4年度(2022年度)事業報告 
  昨年度の事業報告については令和4年度 事業報告書、および令和4年度 活動計算書を参照 
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 際
 会
 議
 地球規模での多言語文化交流   (於)中国・四川  文化芸術学院
日本における外国語教育の現状
                岡 﨑 郁 子 (吉備国際大学特任教授)

はじめに

 
  日本の歴史において、いつ頃から外国との接点を持ち、外国語に触れるようになったのかについて見てみる。そして現在の外国語教育にどのように受け継がれてきているのかという現状を述べる。

いつ外国語が伝わった
  中国で発明された字が日本に伝わったのは、4世紀後半頃と考えられている。それ以前の日本には、話し言葉はあっても文字はなかった。
  漢字に接するようになると、話し言葉の1字に漢字1字を当てて、文章をすべて漢字で表記するようになった。
  世界最古の長篇小説の一つとされる紫式部著『源氏物語』から現在まで、同一言語・同一国家の文学が1400年もの長きに亘って続いてきたのは奇跡であるらしい。しかし、それは日本人にとっては外国語であるはずの中国語で、自身の言語を表現してきたことになる。
  その後長い戦乱の時代を経て、1600年頃からは外国との交易を絶つ鎖国政策を布く。唯一交易を認めた国はポルトガル、次いでオランダである。故に日本に残る外来語には、現在もポルトガル語やオランダ語が多く使われている。
  例えば、カステラ、パン、天ぷら、タバコ、コップ、ボタンなどはポルトガル語、ガラス、ポンプ、ブリキ、ランプ、ランドセル、オルゴールなどはオランダ語で、日本人の日常生活の中に浸透している。

文明開化と外国語
 ② 200年以上続いた鎖国を経て明治時代(1868年)になると、諸外国との交流が一気に始まり、諸外国の多様な言語を学ぼうとする姿勢が明治政府のみならず、民間にも興ってくる。
  以来150余年、外国語教育は一貫して重要視されてきた。医学は、江戸時代にオランダから伝わってきたため、医者を目指す人びとは懸命にオランダの医学書を日本語に訳して学んだ。しかし、明治時代になると、ドイツ医学を学ぶようになり、その伝統が100年以上に亘って続き、つい最近まで医者の書くカルテはドイツ語に拠っていた。
  新たな学校教育制度がスタートすると、第一外国語は英語、第二外国語はドイツ語とフランス語が主流となる。特に大学教育ではそのスタイルは永遠かと思われるほど、長く続いたものである。
  外国語大学が設立されるようになると、中国語、ロシア語、イタリア語、朝鮮語をはじめ、多様な言語を学ぶことができるようになる。

第2外国語論議
  現在の状況を次に述べる。日本では、日本人の通う学校で、韓国語と称して教える学校はない。外国語講座を放送しているテレビやラジオでも韓国語と言わずハングルを使う。大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の双方に配慮してのことである。元はもちろん朝鮮民族の話す朝鮮語だから朝鮮語としてもよさそうなものだが、そうすれば韓国の人びとの反感を買うことになる。
  北朝鮮を支持する、在日朝鮮人組織である朝鮮総連の指導のもと、運営されている朝鮮学校が日本にあるが、そこでは朝鮮語として教えている。韓国が設立を主導した韓国学校も日本にはあり、韓国語を教えているが、双方とも各種学校に分類されている。
  ロシア語は、国名がソビエト社会主義共和国連邦となり、再びロシア連邦となっても、呼びかたは変わることはなく、一貫してロシア語と称している。
  現在、議論となっているのは、第二外国語としてどうしていつまでもドイツ語とフランス語が強いのかという点である。もっとも、ドイツ語やフランス語よりも、中国語を第二外国語として履修する学生は、人数からいえばはるかに多いのが現状である。また、韓国ドラマやサッカーの人気が高まる中で、学生はハングルやイタリア語などを学びたい要求が高まっている。
  中国語を履修する学生数が多い理由は、もちろん隣国への興味もあるだろうが、漢字を使う中国語のほうが、ドイツ語・フランス語より容易に習得できると考えている向きもあるらしい。
  何年勉強しても、会話のおぼつかない日本の英語教育にうんざりしている学生にとって、アルファベットは敬遠したいとの思いから、漢字を見ると安心感が起こるらしい。他には、第一・第二の区別をつけず、すべての言語を第一とし、学びたい言語のみを2年間履修することも可能とする大学も出てきている。

多文化交流と多言語
  これからの外国語教育を展望すると、地球規模での多文化交流がますます盛んになると思われるし、それには言語が果たす役割が重要になってくる。
  日本語は、発音は易しいが文法が難しいと言われている。敬語の中にも尊敬語、謙譲語、丁寧語があって、留学生も苦心している。さらに、日本が中国から学んだ漢語や四字熟語なども大量にある上に、英語を初めとする外来語も溢れている。
  漢字の読みかたにも音読みと訓読みがあり、1字の漢字の読みかたが10通り以上あるのも珍しくない。だが、ただ難しいと敬遠するのではなく、そうなっている社会を知る必要がある。つまり自国では当たり前だと思っていることも、他の国々から見れば理解に苦しむことは多い。
  外国語を学びマスターするには、その国の歴史・文化・習慣・思考法などを知らなければならない。単に表面的な言葉を学んでも意味がないのである。まず自国を知り、隣国を知り、その上で世界の窓を開くために外国語を学ぶ、それが大切なことだと思う。

  〇  〇  〇

  国際会議は2022年12月20日、中国・四川文化芸術学院で開かれたもので、中国、台湾、日本、韓国から9人の大学教授が参加、オンラインで活発な議論を展開。日本からは岡﨑郁子教授が参加し中国語で研究発表した。第2回の会議も計画されている。

 
活動日誌 

 1/11…洛陽市人民対外友好協会とのオンライン会議(ZOOM)
 1/14…総会準備委員会(協会)
 1/18…総領事館主催日中友好賀詞交歓会(ホテルニューオオタニ大阪)
 1/24…岡山南ロータリークラブより職業奉仕賞受賞(松井専務理事)
 1/24…植林・植樹国際連帯事業助成説明会(ZOOM)
 1/26…本年度第一回理事会(協会)
 1/29…吉備真備の足跡を訪ねるオンラインツアー(協会、県日中懇話会等主催)
 1/30…岡大農学部嶋教授訪問・緑化交流協議(岡大農学部)
 2/ 1…山部矢掛教育長来局(協会事務所)
 2/ 9…総会準備委員会(協会事務所)
 2/18…令和5年度協会総会・講演会・互礼会開催(ANAクラウンホテル岡山)
 2/21…県精神科医療センター中島理事長訪問
 2/21…緑化助成金送金(洛陽新安県)
 3/ 9…高見英夫さん宅へお見舞い(総社市)
 3/17…「岡山と中国」3月号発行・発送(協会事務所)
先憂後楽

  一昨年の自治体国際交流表彰(総務大臣賞)に続き、昨年は上海市から白玉蘭賞を、今年に入って岡山南ロータリークラブから職業奉仕賞を頂いた。後の2つの賞は個人名ではあるが、岡山市日中友好協会所属として頂いたもので、協会として嬉しい出来事だった。

  白玉蘭賞は、1984年からの内山完造顕彰事業、そして旭川荘が進めていた福祉交流のサポートと今日まで継続している青少年交流事業が評価された。職業奉仕賞は下津井電鉄の永山久人氏の推薦で、42年間協会活動に尽力してきたことを讃えて頂いた。

  私事であるが、今年は、私が京都丹波の田舎から岡山へ来て50年という節目の年になる。中西寛治さんとの出会いで、内山完造さんの足跡に触れ、大げさに言えば岡山の輝かしい日中友好の伝統を受け継ぐ事業に関わってきたことを光栄に思う。

  本年も総会・論語講演会・変面ショーも飛び出した互礼会の新春行事が盛会裏に終了し、ウイズコロナ時代のアグレッシブなスタートが切れた。

  日中友好の置かれている環境は必ずしも順風満帆ではないが、民間交流を継続し発展させ、アジアと世界の人々の平和安定に寄与するという意義は少しも褪せていない。新たな時代の要請を見据えながら、会員の皆様とともに今年も一歩一歩頑張っていきたい。 (松)

 


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