田口 光代

「未就学生を救おう」教育資金にポンと400万円 〜田口さんと新見市 信陽市へ恩返し〜
会報「岡山と中国」91号 1996年6月
 中国の農村には学校に行けない貧困家庭がまだ多い。新見市と都市縁組を結ぶ河南省信陽市もそのような事情にあるので、縁故のある岡山市大供本町、会社役員、田口光代さんと新見市が教育資金440万円を寄付、今年から救済を始めた。

 田口さんは夫の克己氏が戦時中に信陽市の青年に命を助けられたという人。夫の死後も信陽市へ恩返しの意味で図書館を寄贈したこともある。今回は未就学の児童が存在することを知って心を痛め、一昨年から個人で寄付を始めた。その金は合計230万円に上った。一方新見市も田口さんの義挙に心を動かされて公金から100万円を拠出、更に議員、市職員から一般市民にも輪が広がり結局2,105,000円を集めた。この新見の分は4月に来日した信陽市幹部に渡された。
 こうして5月17日信陽市で中日友好教育基金会(信陽市長が会長)の設立総会が開かれ田口さんは日本から招かれた。そして晴れの舞台で田口さんに副会長の辞令が渡された。日本から贈られた寄付を元にその利息で未就学児童を救おうとする団体の発足である。ちなみに中国の銀行利子は年10%、また物価が安いので400万円の基金から生まれる果実で毎年160人の貧困家庭が救われるものと見られる。

 新見市の公金拠出は今年度当初予算の国際交流費に組まれた。県内の自治体で在岡留学生に援助の手を差しのべた例はあっても中国本土の教育費援助は初めて。

【田口さんの話】
 気持ちだけの寄付に対し中国の方から大変喜んでいただいて嬉しい。日本人として何をさせて貰えるか考えた末のことです。一人でも多くの子どもさんが勉強できることを希望します。

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